2017年8月からトップページにみちの句会の俳句を掲載しています。
掲載月 | 俳 句 | 詠みと解釈 | 俳 号 |
2024年11月 |
眼に留どむモネの点描花野かな | めにとどむモネのてんびょうはなのかな | 絢 |
兼題「眼の愛護デー」 | 槍穂高裾野彩るななかまど | やりほだかすそのいろどるななかまど |
謳 歌 |
目をつむるフランス人形天高し | めをつむるフランスにんぎょうてんたかし |
みえこ | |
2024年10月 兼題「白露」 |
櫓穂を残して田仕事全うす | ひつじほをのこしてたしごとまっとうす | 水 棹 |
彼の人は黄泉路半ばや宵花火 | かのひとはよみじなかばやよいはなび |
みえこ | |
導なき老後を生きむ晩夏光 | しるべなきろうごをいきむばんかこう |
冬 吾 | |
2024年9月 兼題「文月」 |
文月や過ぎたる日々はみな美しく | ふみつきやすぎたるひびはみなはしく | みえこ |
涼月や米寿の本懐道半ば | りょうげつやべいじゅのほんかいみちなかば |
冬 吾 | |
窓開けて風を入れてる熱帯夜 | まどあけてかぜをいれてるねったいや |
時 雨 | |
2024年8月 兼題「夏至」 |
湯上りの児を追いかける天花粉 | ゆあがりのこをおいかけるてんかふん | みえこ |
夜更かしや眠気漂う夏至の頃 | よふかしやねむけただようげしのころ |
水 棹 | |
不規則に路面を叩く夏至の雨 | ふきそくにろめんをたたくげしのあめ | 冬 吾 | |
2024年7月 兼題「祭り」 |
お捻りを手に爪立ちて待つ神輿 | おひねりをてにつまだちてまつみこし | 謳 歌 |
鉢巻きの親子も担ぎ来る神輿 | はちまきのおやこもかつぎくるみこし |
小 楡 | |
鳥居出て街の徒となる神輿かな | とりいでてまちのととなるみこしかな | 冬 吾 | |
2024年6月 兼題「立夏」 |
傘叩く音夏よ来い夏よ来い | かさたたくおとなつよこいなつよこい | 時 雨 |
初夏やペンキの匂う船溜まり | しょかやぺんきのにおうふなだまり |
みえこ | |
狭庭にも楽しさを知る鯉幟 | さにわにもたのしさをしるこいのぼり | 水 棹 | |
2024年5月 兼題「桜」 |
満開の花を車窓にひとり旅 | まんかいのはなをしゃそうにひとりたび | 謳 歌 |
花が散るまた花の散る風の空 | はながちるまたはなのちるかぜのそら |
時 雨 | |
浦風の絶えなき谷戸や花さかり | うらかぜのたえなきやとやはなざかり | みえこ | |
2024年4月 兼題「啓蟄」 |
突と開く扉のように咲く桜 | とつとひらくとびらのようにさくさくら | みえこ |
刻告げる無畏の梵鐘地虫出づ | ときつげるむいのぼんしょうじむしいづ |
冬 吾 | |
野仏に摘みしたんぽぽそっと置き | のぼとけにつみしたんぽぽそっとおき | 謳 歌 | |
2024年3月 兼題「余寒」 |
階段の手摺頼りの余寒かな | かいだんのてすりたよりのよかんかな | 匡 代 |
余寒なほ首まで浸かる露天風呂 | よかんなおくびまでつかるろてんぶろ |
謳 歌 | |
尼寺の垣を照らせる寒椿 | あまでらのかきをてらせるかんつばき | みえこ | |
2024年2月 兼題「初」 |
一湾の前の山嶺にある初日 | いちわんのさきのやまねにあるはつひ | みえこ |
初旅の切符は背広の内ポッケ | はつたびのきっぷはせびろのうちぽっけ |
冬 吾 | |
初富士や耳底に還る海の音 | はつふじやじていにかえるうみのおと | 泰 山 | |
2024年1月 兼題「年用意」 |
畳紙を出して置くのも年の暮れ | たとうしをだしておくのもとしのくれ | 謳 歌 |
大掃除と思うだけなの年の暮れ | おおそうじとおもうだけなのとしのくれ |
匡 代 | |
失恋の思い出とともに煤払い | しつれんのおもいでとともにすすはらい | めぐみ | |
2023年12月 兼題「霜降」 |
風が抽く野面の彩や新走り | かぜがぬくのずらのいろやあらばしり | みえこ |
送られし里の味もの菊膾 | おくられしさとのあじものきくなます |
冬 吾 | |
道端に光を放つ朝の霜 | みちばたにひかりをはなつあさのしも | 謳 歌 | |
2023年11月 兼題「鰯雲」 |
故郷はあの尾のあたり鰯雲 | ふるさとはあのおのあたりいわしぐも | みえこ |
大漁にけっぱる漁港鱗雲 | たいりょうにけっぱるぎょこううろこぐも |
冬 吾 | |
昼の陽の強さ忘れし鰯雲 | ひるのひのつよさわすれしいわしぐも | 泰 山 | |
2023年10月 兼題「新涼」 |
泡沫の生き様秋を歩きをり | うたかたのいきさまあきをあるきをり | 匡 代 |
四辻は風立つところ凉新た | よつつじはかぜたつところりょうあらた |
みえこ | |
一本の河原野菊に風寄りぬ | いっぽんのかわらのきくにかぜよりぬ | 小 楡 | |
2023年9月 兼題「花火」 |
天井絵の龍も騒ぎし揚げ花火 | てんじょうえのりゅうもさわぎしあげはなび | みえこ |
遠き日の兄と遊んだ花火買い | とおきひのあにとあそんだはなびかい |
謳 歌 | |
大輪の花火も声も天に在り | たいりんのはなびもこえもてんにあり | 時 雨 | |
2023年8月 兼題「紫陽花」 |
紫陽花の毬を叩いて去る童 | あじさいのまりをたたいてさるわらわ | みえこ |
瓊花をシャッター脇に空き店舗 | たまばなをしゃったーわきにあきてんぽ |
冬 吾 | |
紫陽花は騒がし過ぎる乙女かも | あじさいはさわがしすぎるおとめかも | 泰 山 | |
2023年7月 兼題「風薫る」 |
機嫌よき空のひと日や軒薄暑 | きげんよきそらのひとひやのきはくしょ | みえこ |
着流しの上布に残る仕付け糸 | きながしのじょうふにのこるしつけいと |
冬 吾 | |
頂きを望みつ締める靴の紐 | いただきをのぞみつしめるくつのひも | 時 雨 | |
2023年6月 兼題「母の日」 |
母の日やも一度母に戻りたし | ははのひやもいちどははにもどりたし | みえこ |
母の日や電話の次男元気だね | ははのひやでんわのじなんげんきだね |
冬 吾 | |
春雨や母の顔描きたる | はるさめやははのかんばせえがきたる | 時 雨 | |
2023年5月 兼題「ものの芽」 |
ものの芽や日毎に知恵のつく曾孫 | もののめやひごとにちえのつくひまご | かずお |
ビル群を上に乗せたる花の雲 | ビルぐんをうえにのせたるはなのくも |
みえこ | |
独白の漢の駄弁木の芽風 | どくはくのおとこのだべんこのめかぜ | 冬 吾 | |
2023年4月 兼題「節分」 |
体力がなくても家長鬼やらひ | たいりょくがなくてもかちょうおにやらひ | かずお |
金髪にピアスの男節分会 | きんぱつにピアスのおとこせつぶんえ |
みえこ | |
鬼やらひ天守で見伏す鬼瓦 | おにやらひてんしゅでみふすおにがわら | 冬 吾 | |
2023年3月 兼題「寒の雨」 |
そぞろ雨濡れにまかせる寒椿 | そぞろあめぬれにまかせるかんつばき | 匡 代 |
着膨れて漸く辿る鄙の宿 | きぶくれてようやくたどるひなのやど |
小 楡 | |
寒空に点となりゆく航空機 | さむぞらにてんとなりゆくこうくうき | みえこ | |
2023年2月 兼題「手袋」 |
手袋の指さす先の訪ね宿 | てぶくろのゆびさすさきのたずねやど | 冬 吾 |
手袋やつなぐ手夫の照れもなく | てぶくろやつなぐてつまのてれもなく |
みえこ | |
病む妻に長居の客や冬の暮れ | やむつまにながいのきゃくやふゆのくれ | かずお | |
2023年1月 兼題「小六月」 |
昼と夜を頒る緞帳日の短か | ひるとよるをわけるどんちょうひのみじか | みえこ |
食い初めの祝いを待てり花椿 | くいぞめのいわいをまてりはなつばき |
かずお | |
ふる里の青空つれて小六月 | ふるさとのあおぞらつれてころくがつ | 泰 山 | |
2022年12月 兼題「鍋」 |
今生のひとこま妻と温め酒 | こんじょうのひとこまつまとぬくめさけ | かずお |
終戦後雑炊鍋に腹満たす | しゅうせんごぞうすいなべにはらみたす |
匡 代 | |
その末は鳥の餌となる木守柿 | そのすえはとりのえとなるきもりかき | 時 雨 | |
2022年11月 兼題「白露」 |
食欲をお覚ゆこの頃白露かな | しょくよくをおぼゆこのころはくろかな | 匡 代 |
木道を静かに歩く白露かな | もくどうをしずかにあるくはくろかな |
泰 山 | |
残りたる虫惜別の声哀れ | のこりたるむしせきべつのこえあわれ | 小 楡 | |
2022年10月 兼題「夏の果て」 |
最近の造語に悩む夏の果て | さいきんのぞうごになやむなつのはて | かずお |
惜しみなくひと日を終ゆる花木槿 | おしみなくひとひをおゆるはなむくげ |
みえこ | |
勝敗の一球無常夏終わる | しょうはいのいっきゅうむじょうなつおわる | 冬 吾 | |
2022年9月 | 何事もなかったように夕涼み | なにごともなかったようにゆうすずみ | みえこ |
暫くは濡れにまかせる凉雨かな | しばらくはぬれにまかせるりょううかな |
冬 吾 | |
打ち水や又打ち水や露地の店 | うちみずやまたうちみずやろじのみせ | 小 楡 | |
2022年8月 | 二筋のうねり残してカヌー過ぐ | ふたすじのうねりのこしてかぬーすぐ | 匡 代 |
雑魚寝するサーフボードや凪の浜 | ざこねするさーふぼーどやなぎのはま |
冬 吾 | |
祝祭の音を遠くに土用波 | しゅくさいのおとをとおくにどようなみ | みえこ | |
2022年7月 | 豊かなる余生に夏の来たりけり | ゆたかなるよせいになつのきたりけり | かずお |
おはじきの乾しき音や五月雨るる | おはじきのかわしきおとやさみだるる |
みえこ | |
雑然の居場所も既に梅雨入りかな | ざつぜんのいばしょもすでにつゆいりかな | 冬 吾 | |
2022年6月 兼題「立夏」 |
礁噴く波の秀白き青葉潮 | いくりふくなみのほしろきあおばしお | みえこ |
逞しき鬣京の競べ馬 | たくましきたてがみきょうのくらべうま |
冬 吾 | |
噴水や水の命の競い合い | ふんすいやみずのいのちのきそいあい | かずお | |
2022年5月 兼題「若」 |
八十に八足す若さ夕朧 | はちじゅうにはちたすわかさゆうおぼろ | みえこ |
走るごと過ぎし青春朧月 | はしるごとすぎしせいしゅんおぼろづき |
小 楡 | |
微笑みつマスクを外す春日かな | ほほえみつますくをはずすはるびかな | 匡 代 | |
2022年4月 | 古雛と笑いつ交わすにごり酒 | こひなとわらいつかわすにごりざけ | かずお |
兼題「春・当期雑詠」 | 春風やベンチは二人だけの巾 | はるかぜやべんちはふたりだけのはば |
みえこ |
動かない形見の時計春一番 | うごかないかたみのとけいはるいちばん | 冬 吾 | |
2022年3月 兼題「寒の内」 |
極寒の一ト日居留守を欲しいまま | ごっかんのひとひいるすをほしいまま | みえこ |
背を正し老いを楽しむ冬帽子 | せをただしおいをたのしむふゆぼうし |
かずお | |
寒風に頼りなき身を抗えり | かんぷうにたよりなきみをあらがえり | 冬 吾 | |
2022年2月 兼題「初」 |
煩悩をいくつ越えたか除夜の鐘 | ぼんのうをいくつこえたかじょやのかね | 匡 代 |
初吟の声は大きく息を吸い | はつぎんのこえはおおきくいきをすい |
小 楡 | |
火の神よ天へ届けよこの吉書 | ひのかみよてんへとどけよこのきつしょ | 耕 女 | |
2022年1月 兼題「年の瀬」 |
生涯をひきずって来し開戦日 | しょうがいをひきずってきしかいせんび | かずお |
年の瀬の枷をはずしている生活 | としのせのかせをはずしているくらし |
みえこ | |
お座なりの世過ぎよもあれ年用意 | おざなりのよすぎよもあれとしようい | 冬 吾 | |
2021年12月 兼題「立冬」 |
立冬や軒に忘れし鉢一つ | りっとうやのきにわすれしはちひとつ | 時 雨 |
嬉々として小鳥啄ばむ木守柿 | ききとしてことりついばむきもりかき |
匡 代 | |
冬に入る東尋坊の風もまた | ふゆにいるとうじんぼうのかぜもまた | 泰 山 | |
2021年11月 兼題「長月」 |
着古しの父の野良着や捨て案山子 | きふるしのちちののらぎやすてかかし | 冬 吾 |
日の入りは加速の一途鳥渡る | ひのいりはかそくのいっととりわたる |
みえこ | |
四代の親子揃うや秋の寺 | よんだいのおやこそろうやあきのてら | かずお | |
2021年10月 兼題「山粧う」 |
秋霖や我が来し方を謳うかに | しゅうりんやわがきしかたをうたうかに | かずお |
山粧う四駆の旅も今昔 | やまよそうよんくのたびもいまむかし |
みえこ | |
分水嶺影を重ねて山粧う | ぶんすいれいかげをかさねてやまよそう | 冬 吾 | |
2021年9月 兼題「育」 |
健やかに老い育みて墓洗う | すこやかにおいはぐくみてはかあらう | かずお |
驟雨なる今お昼寝の保育園 | しゅううなるいまおひるねのほいくえん |
みえこ | |
学び舎の女先生百日紅 | まなびやのおんなせんせいさるすべり | 小 楡 | |
2021年8月 兼題「背」 |
妻の背に歳月のあり盆用意 | つまのせにさいげつのありぼんようい | かずお |
雨を背に蝦蟇の瞑想一途なる | あめをせにがまのめいそういちずなる |
みえこ | |
黙座する父の背中や夕端居 | もくざするちちのせなかやゆうはしい | 冬 吾 | |
2021年7月 兼題「祭」 |
亡き友の孫の継ぎ享く祭笛 | なきとものまごのつぎうくまつりぶえ | みえこ |
疫去れと祈りをこめし笛太鼓 | えきされといのりをこめしふえたいこ |
泰 山 | |
遠近に祭囃子やビル谺 | おちこちにまつりばやしやびるこだま | 小 楡 | |
2021年6月 兼題「山滴る」 |
山滴る人は自粛の殻に入り | やましたたるひとはじしゅくのからにいり | みえこ |
石清水棚田潤す幾何模様 | いわしみずたなだうるおすきかもよう |
冬 吾 | |
滴りの山ふところや水の音 | したたりのやまふところやみずのおと | かずお | |
2021年5月 | 万愚節見知らぬ人に辞儀をして | ばんぐせつみしらぬひとにじぎをして | ひかり |
兼題「四月馬鹿&当季雑詠」 | 啓蟄に人は蟄居強いられて | けいちつにひとはちっきょしいられて |
かずお |
人類の墓場は宇宙四月馬鹿 | じんるいのはかばはうちゅうしがつばか | みえこ | |
2021年4月 兼題「桜」 |
相棒となりしマスクや初桜 | あいぼうとなりしマスクやはつさくら | みえこ |
手櫛する髪の乱れや桜東風 | てぐしするかみのみだれやさくらごち |
冬 吾 | |
華やかさ寂しさもあり桜花 | はなやかささびしさもありさくらばな | かずお | |
2021年3月 兼題「水」 |
断崖を的に陽の射る雨水かな | だんがいをまとにひのいるうすいかな | みえこ |
初場所やコロナに負けぬ力水 | はつばしょやころなにまけぬちからみず |
かずお | |
露天風呂水面に映る寒の月 | ろてんぶろみなもにうつるかんのつき | 匡 代 | |
2021年2月 兼題「雪」 |
樏の一歩で確と道をつけ | かんじきのいっぽでしかとみちをつけ | 冬 吾 |
しんしんと僧院の朝雪明り | しんしんとそういんのあさゆきあかり |
泰 山 | |
混浴の峪湯や其処に雪女 | こんよくのたにゆやそこにゆきおんな | みえこ | |
2021年1月 兼題「ひかり」 |
月光の窓閉じて聞く虎落笛 | げっこうのまどとじてきくもがりふえ | みえこ |
初春や琥珀の光大吟醸 | はつはるやこはくのひかりだいぎんじょう |
冬 吾 | |
日向ぼこ猫の欠伸につられけり | ひなたぼこねこのあくびにつられけり | かずお | |
2020年12月 兼題「道」 |
芒原真一文字に遊歩道 | すすきはらまいちもんじにゆうほどう | 時 雨 |
路地裏の風情一変暮れに秋 | ろじうらのふぜいいっぺんくれにあき |
かずお | |
黄落や我が歩に余る並木道 | こうらくやわがほにあまるなみきみち | みえこ | |
2020年11月 兼題「風」 |
転寝の心地よい風九月なり | うたたねのここちよいかぜくがつなり | かずお |
十日夜樹樹の騒立つ風の中 | とおかんやきぎのさわだつかぜのなか 十日夜=10月10日土竜(もぐら)叩きの行事 |
小 楡 | |
秋風を切ってバイクの若き僧 | あきかぜをきってばいくのわかきそう | 冬 吾 | |
2020年10月 兼題「秋の草」 |
乾びたる路肩に戦ぐえのこ草 | かびたるろかたにそよぐえのこぐさ |
みえこ |
叢の飛蝗にたじろぐ子犬かな | くさむらのばったにたじろぐこいぬかな |
冬 吾 | |
卒寿なお長生きしてネと栗ご飯 | そつじゅなおながいきしてねとくりごはん |
匡 代 | |
2020年9月 兼題「八月を詠む」 |
ふる里に思いを馳せる夏の空 | ふるさとにおもいをはせるなつのそら |
泰 山 |
海山も遠くになりし夏休み | うみやまもとおくになりしなつやすみ |
匡 代 | |
鬼籍なる父母は年下盆の月 | きせきなるふぼはとししたぼんのつき |
みえこ | |
2020年8月 兼題「八月を詠む」 |
竹簾かけて和みし佇まい | たけすだれかけてなごみしたたずまい |
かずお |
齢少し戻す心算の夏帽子 | としすこしもどすつもりのなつぼうし |
みえこ | |
鎌を手に姉さん被りの草むしり | かまをてにあねさんかぶりのくさむしり |
忠 幸 | |
2020年7月 兼題「梅雨」 |
絵団扇の見返り美人古りもせず | えうちわのみかえりびじんこりもせず |
みえこ |
梅雨の路地大型犬の大欠伸 | つゆのろじおおがたけんのおおあくび |
匡 代 | |
鬩ぎ合う入道雷神梅雨の雲 | せめぎあうにゅうどうらいじんつゆのくも |
冬 吾 | |
2020年6月 兼題「春の海&端午の節句」 |
時の疫荒れ狂うか春の海 | ときのえきあれくるうかはるのうみ |
かずお |
人隔つ三尺の距離五月来る | ひとへだつさんじゃくのきょりごがつくる |
みえこ | |
今日の詩歩春の浜へ九十歩 | きょうのしほはるのはまへくじゅうぽ |
冬 吾 | |
2020年5月 兼題「朝寝&春眠」 |
春眠や鐘の音遠き大楽寺 | しゅんみんやかねのねとおきだいらくじ |
匡 代 |
春眠や人生羈旅の宝とし | しゅんみんやじんせいきりょのたからとし |
かずお | |
朝寝して雨の音にも心足る | あさねしてあめのおとにもこころたる |
みえこ | |
2020年4月 兼題「二月を詠む」 |
師を囲み言葉織りなす春隣 | しをかこみことばおりなすはるどなり |
耕 女 |
訪ね来し珍客二月の貌をして | たずねきしちんきゃくにがつのかおをして |
冬 吾 | |
早春の光を纏う遠き峰峰 | そうしゅんのひかりをまとうとおきねね |
みえこ | |
2020年3月 兼題「二月を詠む」 |
初雪や季寄せを閉じし師の庵 | はつゆきやきよせをとじししのいおり |
みえこ |
瑠璃越しの日だまり静か初雀 | るりごしのひだまりしずかはつすずめ |
おか女 | |
初釜や裾を正してにじり口 | はつがまやすそをただしてにじりぐち |
小 楡 | |
2020年2月 兼題「門・戸・扉」 |
山門に枯れ葉舞い散る大楽寺 | さんもんにかれはまいちるだいらくじ |
かずお |
硝子戸に今朝も寒さの結露見ゆ | がらすどにけさもさむさのけつろみゆ |
冬 吾 | |
朝日受け垣の南天きらり映ゆ | あさひうけかきのなんてんきらりはゆ |
匡 代 | |
2020年1月 | 炉を開く五重の塔を借景に | ろをひらくごじゅうのとうをしゃくけいに |
みえこ |
兼題「7・5・3数字を入れて」 | 千歳飴ふりふり若殿宮参り | ちとせあめふりふりわかとのみやまいり |
小 楡 |
待ち遠し東京五輪の晴れ舞台 | まちとおしとうきょうごりんのはれぶたい |
かずお | |
2019年12月 兼題「秋の七草」 |
藤袴庭に伏せさす暴風雨 | ふじばかまにわにふせさすぼうふうう |
かずお |
墓域いま色なき風やこぼれ萩 | ぼいきいまいろなきかぜやこぼれはぎ |
忠 幸 | |
潮の色美し岬や枯れすすき | しおのいろはしきみさきやかれすすき |
匡 代 | |
2019年11月 兼題「仲秋」 |
野に山に彩り初めし秋半ば | のにやまにいろどりはじめしあきなかば |
みえこ |
仲秋や夜空に見とれ彷徨す | ちゅうしゅうやよぞらにみとれほうこうす |
泰 山 | |
一瞥の長押陣取る秋団扇 | いちべつのなげしじんどるあきうちわ |
冬 吾 | |
2019年10月 兼題「汗」 |
汗拭くや庭の剪定さっぱりと | あせふくやにわのせんていさっぱりと |
忠 幸 |
血と汗の勤労動員終戦忌 | ちとあせのきんろうどういんしゅうせんき |
かずお | |
球場の汗までしょってる売り子かな | きゅうじょうのあせまでしょってるうりこかな |
冬 吾 | |
2019年9月 兼題「当期雑詠」 |
遠雷や袂を分かつ国さかい | えんらいやたもとをわかつくにさかい |
泰 山 |
紫陽花や七転び八起の言葉ふと | あじさいやななころびやおきのことばふと |
かずお | |
往来の声透き通る夏のれん | おうらいのこえすきとおるなつのれん |
みえこ | |
2019年8月 兼題「父の日」 |
父の日や老いても確と脛持てり | ちちのひやおいてもしかとすねもてり |
みえこ |
父の日や子や孫と酌むこの旨さ | ちちのひやこやまごとくむこのうまさ |
かずお | |
父の日や引き出し奥の肥後守 | ちちのひやひきだしおくのひごのかみ |
冬 吾 | |
2019年7月 兼題「連休」 |
連休の書肆に並みいる万葉集 | れんきゅうにしょしになみいるまんようしゅう |
みえこ |
ヨットハーバー十連休の風を待つ | よっとはーばーじゅうれんきゅうのかぜをまつ |
冬 吾 | |
休みたい休みたくない大連休 | やすみたいやすみたくないだいれんきゅう |
泰 山 | |
2019年6月 |
わが友の行き方知らず彼岸花 | わがとものいきかたしらずひがんばな |
泰 山 |
治癒し妻三年ぶりの雛飾る | ちゆしつまさんねんぶりのひなかざる |
忠 幸 | |
鐘の音に目覚めて暗き花の冷え | かねのねにめざめてくらきはなのひえ |
匡 代 | |
2019年5月 兼題「流」 |
荒東風の流れに揺るる舫船 | あらこちのながれにゆるるもやいぶね |
みえこ |
ビル街の人の流れも四月かな | びるがいのひとのながれもしがつかな |
冬 吾 | |
恋猫の叫び闇夜を震わせて | こいねこのさけびやみよをふるわせて |
匡 代 | |
2019年4月 兼題「雲」 |
決意せり「行雲流水」年新た | けついせりこううんりゅうすいとしあらた |
かずお |
冬雲を抜け出て機窓無の世界 | ふゆぐもをぬけでてきそうむのせかい |
耕 女 | |
おお雲雀唄う俺らは冬帽子 | おおひばりうたうおいらはふゆぼうし |
泰 山 | |
2019年3月 | 開門の迎賓館や春の詩 | かいもんのげいひんかんやはるのうた |
小 楡 |
手作りの飾り門扉に待つ元旦 | てづくりのかざりもんぴにまつあした |
耕 女 | |
声甘ゆ猫のおねだり淑気満つ | こえあまゆねこのおねだりしゅくきみつ |
かずお | |
2019年2月 | 日暦の痩せゆく平成数えけり | ひめくりのやせゆくへいせいかぞえたり |
冬 吾 |
平成の終の年賀や恙なし | へいせいのついのねんがやつつがなし |
小 楡 | |
米寿過ぐ昭和・平成虎落笛 | べいじゅすぐしょうわ・へいせいもがりぶえ |
かずお | |
2019年1月 | 野天風呂裾一面の枯れ尾花 | のてんぶろすそいちめんのかれおばな |
匡 代 |
初富士や佳き日々なれと仰ぎたる | はつふじやよきひびなれとあおぎたる |
小 楡 | |
まみえたる天女の化身寒牡丹 | まみえたるてんにょのけしんかんぼたん |
耕 女 | |
2018年12月 | 目指し食い昭和の味を懐かしむ | めざしくいしょうわのあじをなつかしむ 昭和時代の懐古を思い起こして |
かずお |
秋うらら峠の茶屋に五平餅 | あきうららとうげのちゃやにごへいもち ハイキングで立ち寄った茶屋でひと休み |
泰 山 | |
柴又やビラの寅さん串団子 | しばまたやびらのとらさんくしだんご 寅さんのビラが今も語りかけるような一こま |
匡 代 | |
2018年11月 | 盆の波漂い滾り岩を打つ | ぼんのなみただよいたぎりいわをうつ | 冬 吾 |
敗戦日青空だけが無傷なり | はいせんびあおぞらだけがむきずなり | かずお | |
故郷はあの尾の辺り鰯雲 | ふるさとはあのおのあたりいわしぐも | みえこ | |
2018年10月 | 花火果て余韻の匂う土手通り | はなびはてよいんのにおうどてどおり 大田区の平和宣言都市花火大会後の一コマ |
かずお |
六三四塔ここまでお出で揚花火 | むさしとうここまでおいであげはなび 六三四塔=スカイツリーより花火見物か? |
泰 山 | |
遠花火の音を肴に酌み交す | とおはなびのおとをさかなにくみかわす 花火の音を聞きながら夏の夜の楽しい酒を・・・ |
きよし | |
2018年9月 | 木陰行く暑中見舞いの傘の佳人 | こかげいくしょちゅうみまいのかさのひと 傘の佳人が格調高い句として |
小 楡 |
七夕に記すひと時の真顔なり | たなばたにきすひとときのまがおなり 何をお願いしようかと真剣な顔で・・・ |
耕 女 | |
今日有ると家族三代盆供養 | きょうあるとかぞくさんだいぼんくよう 三代の家族で先祖の御霊に感謝と報告か? |
匡 代 | |
2018年8月 | 渓流の音の高まる梅雨の宿 | けいりゅうのおとのたかまるつゆのやど 梅雨時の水の流れの変化を詠む |
きよし |
青梅雨や古刹の坂の石畳 | あおつゆやこさつのさかのいしだたみ 青葉の中の梅雨、由緒ある古寺を行く山道 |
冬 吾 | |
梅雨冷えや炭火も馳走と母笑う | つゆびえやすみびもちそうとははわらう 炭火で暖をとるか、それとも馳走作りか? |
小 楡 | |
2018年7月 | 新緑や登山電車の見え隠れ | しんりょくやとざんでんしゃのみえかくれ 新緑に登山電車が、おもちゃの車両のように・・・ |
きよし |
緑摘む今を盛りの牧の原 | みどりつむいまをさかりのまきのはら 新茶の香りまで感じてきます。 |
みえこ | |
新緑や石山寺は雨の中 | しんりょくやいしやまでらはあめのなか 新緑の雨にたたずむ古寺に手を合わす。 |
泰 山 | |
2018年6月 | 新学期先生児童に光る窓 | しんがっきせんせいじどうにひかるまど ピカピカの新入生、先生 新学期の明るい句です。 |
匡 代 |
ウインドーでネクタイ直す就活生 | ういんどーでねくたいなおすしゅうかつせい 就職活動生の緊張した景が感じられます。 |
冬 吾 | |
白蓮のこぼれる窓辺珈琲タイム | びゃくれんのこぼれるまどべこーひーたいむ 珈琲タイムとは生活の豊かさを感じます。 |
小 楡 | |
2018年5月 | 春風や待ち詫ぶ友は黄泉の人 | はるかぜやまちわぶともはよみのひと 選者評:追悼の深い句です。 黄泉=亡くなった人の魂が行くというところ。 |
かずお |
まだ何処か身を離れざる春の風邪 | まだどこかみをはなれざるはるのかぜ 選者評:平常を良くまとめられました。 |
きよし | |
芝駆ける馬のたてがみ風光る | しばかけるうまのたてがみかぜひかる 選者評:見事 ”風光る” が効いています。 |
小 楡 | |
2018年4月 | 観梅や缶コーヒーを握りしめ | かんばいやかんコーヒーをにぎりしめ | 凡 妻 |
肩寄せて梅一輪の隠れ宿 | かたよせてうめいちりんのかくれやど | 小 楡 | |
母の忌や梅の和菓子を供えけり | ははのきやうめのわがしをそなえけり | かずお | |
2018年3月 | 賀状にも悲喜こもごもの時流れ | がじょうにもひきこもごものときながれ 年賀状の添え書きなどを、読むとその時間の過去が見えてくる。 |
ふみお |
北風に向かう敵なしおらが声 | きたかぜにむかうてきなしおらがこえ 北風に向かって負けじとばかり大きな声で独り言・それとも演歌かな。 |
泰 山 | |
新聞は常のごと来し大旦 | しんぶんはつねのごときしおおあした 大旦=元旦の朝いつも通りに新聞が配達されることの幸せと感謝 |
みえこ | |
2018年2月 | 暖炉燃ゆ箱根の宿のはなれ部屋 | だんろもゆはこねのやどのはなれべや あなたならこの光景をどう理解しますか? |
きよし |
徳利ある少しみだらな囲炉裏端 | とっくりあるすこしみだらないろりばた 部屋の囲炉裏を囲んでの大徳利と男の会話も感じられます |
みえこ | |
初雪や結露にかすむ街灯 | はつゆきやけつろにかすむまちあかり 外は初雪家の中はストーブの暖かさとのとりあわせ |
匡 代 | |
2018年1月 | 裸木となりて新たな生命待つ | はだかぎとなりてあらたないのちまつ 最後の枯れ葉も脱ぎ捨てて春を待つ木々 |
かずお |
とくとくと升目こぼるる新走り | とくとくとますめこぼるるあらばしり その年の収穫米で作った新酒をなみなみと注ぐ |
冬 吾 | |
ゆれる灯も山車も囃も秋祭 | 「ゆれるひもだしもはやしもあきまつり」 飛騨高山祭で山車の勇壮さとお囃子の賑わい |
小 楡 | |
2017年12月 | 声援のお国訛りや運動会 | せいえんのおくになまりやうんどうかい 飛び交う応援がどこのお国言葉か、これも面白い |
青 木 |
散歩道何方の化身彼岸花 | さんぽみちどなたのけしんひがんばな 曼殊沙華、死人花、梵語で天上に咲く花と言う |
匡 代 | |
跳び箱を跳ぶが如きに飛蝗はね | とびばこをとぶがごときにばったはね 草むらのバッタの軽快な跳躍、若き往時を重ね |
きよし | |
2017年11月 | 名月や空のカンバス神の業 | めいげつやそらのカンバスかみのわざ 満月と空一面のスケールの大きさを詠む |
耕 女 |
屋台の灯落とし幕あく星月夜 | やたいのひおとしまくあくほしづきよ 屋台の提灯が消えたあとの夜空一面の星 |
冬 吾 | |
追い駆けるゴールは何処枯れ落葉 | おいかけるゴールはいずこかれおちば 風に舞う落ち葉がまるでかけっこしているみたい |
ふみお | |
2017年10月 | 橅木立休むことなし蝉しぐれ | ぶなこだちやすむことなしせみしぐれ 一段と暑さをかきたてる蝉の鳴き声 |
きよし |
盆休暇陸・海・空の臨時便 | ぼんきゅうかりく・うみ・そらのりんじびん 海外、リゾート、故郷への大移動 |
凡 妻 | |
通り雨蟻んこの列走り出す | とおりあめありんこのれつはしりだす 蟻の動きを凝視した一句 |
泰 山 | |
2017年9月 | 走馬燈曽孫と遊ぶ米寿かな | そうまとうひまごとあそぶべいじゅかな 曾祖母と曽孫の遊びが、齢の差を超えて何をする |
匤 代 |
黒揚羽弔い告げに飛びにけり | くろあげはとむらいつげにとびにけり 飛ぶ黒揚羽に何となくそんな思いもよぎる |
すすむ | |
父の日や手酌で祝う大吟醸 | ちちのひやてじゃくでいわうだいぎんじょう 父の日に届いた大吟醸を味わいながらのひとり酒 |
かずお | |
2017年8月 | 雨しとど蟇悠然と道過る | あめしとどひきゆうぜんとみちよぎる びっしょりと雨の中蟇蛙の様を句にしたもの |
小 楡 |
五月雨や旅の起伏の四分休符 | さみだれやたびのきふくのしぶきゅうふ 高齢者の旅は同じ間隔で休みながらの旅である |
青 水 | |
骨組だけの水車小屋初夕立 | ほねぐみだけのすいしゃごやはつゆだち 今はもう昭和の貴重な遺産でもある、残念な風物詩か? |
ふみを |